労働基準法の休憩時間について考える(フレックスタイム制の編)

前回の労働基準法の休憩時間について考える(6時間勤務休憩なしの編)に続き、今回はフレックスタイム制の場合のお話です。

昨今の働き方改革によって様々な取り組みが行われる中、フレックスタイム制を導入する企業もどんどん増えているのではないでしょうか。

フレックスタイム制の例

さて、A社から次のような求人があったとします。

勤務形態)フレックスタイム制

精算期間)1ヶ月

月の所定労働時間)8時間×月の所定労働日数

例えば、ある月に休日(法定休日&所定休日)を除く勤務日(所定労働日)が20日あったとすると、月の所定労働時間は8時間×20日=160時間となります。

コアタイムの設定がない場合は、1日何時間働いても月間で160時間を満たせばクリアということになります。(実際には22:00〜05:00の間は深夜労働となり、賃金の割増が発生するので、この時間帯の労働を制限する企業が多いかと思います)

休憩時間の定めが特にない場合は、勤労基準法に基づいて休憩時間が付与されるので、その定めにより、

  • 労働時間が6時間以下 → 休憩無しでもOK
  • 労働時間が6時間1分以上8時間以下 → 45分以上の休憩が必要
  • 労働時間が8時間1分以上 → 1時間以上の休憩が必要

となります。

実はみんなちゃんと休憩を取らないことが多い

少し話が変わりますが、皆さん、ちゃんと休憩取ってますか?

休憩といえば、多くのサラリーマンは昼休憩(ランチタイム)になるかと思います。

次の例を見てみましょう。

A子さんはランチタイムに一人でぶらっと外に出て牛丼特盛を一杯食べてセブンスターを一服してからオフィスに戻っても休憩開始から45分しか経っていなかった。でも手持ち無沙汰で、しかも仕事も気になったから業務に戻ることにした。

この日、A子さんは09:00に始業、17:45に終業の打刻を行った。

多くの企業が勤怠管理上、休憩開始&終了を打刻させず、一律に1時間の休憩を取ったとみなす場合が多いことが現状です。

KINPIRA CLOUDも同様ですが、多くの勤怠管理システムには休憩時間を自動で計算する機能があり、「勤務時間中の1時間を休憩時間として計算する」パターンは多いのではないでしょうか。

ですが、そうなると損をするのは労働者になります。

なぜなら、実際には45分しか休憩を取っていないのに、1時間休憩を取ったことにされてしまい、その分余計に働かなくてはならない(前述の例でいうと、月間の所定労働時間160時間を満たすため)事態が生じるためです。

45分しか休憩を取っていないなら45分として打刻しよう

前述の通り、労働時間が8時間を超えなければ、休憩時間は45分以上あれば問題ありません

A子さんは09:00に始業、17:45に終業の打刻を行ったわけだから、勤務時間は8時間45分になります。

ここから休憩時間を1時間差し引くと、労働時間は7時間45分になるわけですが、実際に休憩を取った時間は45分に過ぎません。

なので、こういうときは休憩時間が45分になるように打刻を「修正」しましょう。(勤怠管理システム上、休憩時間が自動的に1時間反映される設定の場合)

すると、労働時間が8時間となり、正しい勤怠となります。

労働時間が8時間を超えてしまったら?

一方で、09:00に始業、17:46に終業の打刻を行った場合はどうなるでしょうか?

勤務時間は8時間46分となり、ここから休憩時間45分を差し引くと、労働時間は8時間1分になります。

この場合、労働時間が8時間を超えているため、休憩時間は1時間以上でなければなりません。

ではどうすれば良いか?方法は簡単。休憩時間を46分にするだけです。

すると、あら不思議。勤務時間8時間46分から休憩時間46分を差し引いた8時間が労働時間になるわけで、ちゃんと「8時間以内の労働時間に45分以上の休憩」を与えているわけだから労働基準法違反になりません。

「俺は45分しか休憩を取っていないのに休憩時間を46分と申告しなければならないなんて、けしからん!」という人がいたら、正論すぎてぐうの音も出ません。その場合は、ちゃんと終業打刻を17:45にするしかありませんね。

フレックスタイム制におけるKINPIRA CLOUDの休憩時間設定と打刻修正

勤務形態をフレックスタイム制に設定する方法については、過去の記事「勤務形態メニューが追加されました。」を参考にしてください。

このように休憩時間を「60分」と設定した場合、

このようになりますが、実際には休憩時間45分、労働時間8時間が正しい場合は、打刻を修正することができます。

該当の日付の行をクリックすると、

このような打刻修正画面が表示されるので、「休憩開始」と「休憩終了」を修正します。

すると、

このように休憩時間と労働時間が正しく反映されるようになります。

まとめ

労働基準法では「労働時間が○○時間を超える場合、○○分以上の休憩を与えなければならない」という定めがある一方、労働者が「○○分の休憩なんていらない。○○分で十分」と思って実際にそれを実行してしまうと、使用者(企業)が責任を問われることがあり得ます。

労働基準法で休憩の最低時間を定めている理由は、おそらく労働者のためを思ってのことかと思いますが、そういった規制はこの働き方改革時代にはむしろそぐわない一面もあるのではないでしょうか。

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