勤怠管理システムを導入すれば勤務時間の集計や給与計算が楽になるというのは誰もが知っているはずなのに、それでも会社や組織で勤怠管理システムを導入しない理由は何でしょうか。
理由その1)勤怠管理システム導入のコストが高い
コストといっても別にお金の話だけではありません。
無料で使える勤怠管理システムはいくらでもあるので、金銭面以外のコストを挙げると、以下のようなものがあります。
- 数ある勤怠管理システムの中から最も自社に合うシステムを選定するコスト(選定コスト)
- 選定した勤怠管理システムの設定や操作を管理者が覚えるコスト(学習コスト)
- 導入が決まった勤怠管理システムの運用を従業員に浸透させるコスト(啓蒙コスト)
一つずつ詳しく見てみましょう。
コストその1)選定コスト
「我が社も勤怠管理システムの導入を!」と意気込んだときにまず最初にやることとは、世の中の勤怠管理システムを調べ、比較し、どのシステムが最も自社に合うかを検討することです。
システムの種類が少なければそこまで苦でもないでしょうが、世の中の勤怠管理システムの種類は多いです。本当に多いです。
すべての勤怠管理システムのサービスにユーザー登録をして一通り機能を試してみるのはなかなか骨が折れる作業なので、実際には2〜3個、多くても4〜5個のサービスに登録してトライアルで使ってみてその中から導入するシステムを選定する、という流れが一般的ではないでしょうか。
それにしても、各システムの初期設定やら基本操作を覚えるやらで、ある程度システムを触ってみないと他のシステムとの比較のしようがないので、この「システムを触ってみる労力」は必要不可欠なコストとなり、これがまず第一の関門となります。
そう、勤怠管理システムの選定はとにかく面倒臭いのです。
コストその2)学習コスト
やっとシステムの選定が終わったら、今度は従業員の勤務時間の集計や給与計算業務などを行う担当者がそのシステムの管理画面の操作を覚えなければなりません。
ただ、勤怠管理システムの初期設定は設定項目も多く、設定の内容がいまいちわからないことも多々あります。
それに、従業員の勤務時間の集計方法や給与計算ソフトへの連携、有休管理の操作など、覚えなくてはならない操作が山積みです。
分厚いマニュアルと睨めっこしながら慣れないシステムの操作を覚えるストレスは決して軽いものではありません。
コストその3)啓蒙コスト
最後のコストは、従業員を勤怠管理システムに慣れさせるコストです。
はっきり言って、多くの場合従業員にとって最も簡単な打刻方法は、ICカードでも生体認証でもなく、「紙のタイムカード」です。
紙のタイムカードは、ICカードのように常に持参する必要も、生体認証のように何回も認証に失敗することもなく、ただ事務所の出入り口に置かれた自分のタイムカードをタイムレコーダーに通すだけで打刻が完了するわけですから一番楽に決まっています。
そもそも勤怠管理システムは一般従業員を楽にさせるためのものではなく、管理者が楽になるためのものなので、システム導入により従業員がストレスを感じることはよくあることです。
打刻方法が変わるのもストレス、勤怠管理システムに登録したり、毎日ログインしなければならないのもストレスです。
システム導入が会社が決めた方針であれば反発はできないでしょうが、決してストレスがないわけではなく、打刻や有休申請、閲覧方法などのシステムの使用方法を教えるなど、管理者から従業員へのフォローやケアはとても大事で、このようなフォローやケアをここでは啓蒙コストと言います。
従業員をシステムに慣れさせるのは、れっきとしたコストなのです。
理由その2)残業代を払わないから給与計算がそれほど大変ではない
勤怠管理システムを導入する目的として、「残業代の計算を楽にするため」というのがあります。
一概に残業代といっても、法定内残業、法定外残業、深夜労働、休日労働、またはその組み合わせなどによって残業代の割増率も様々だし、計算方法も複雑になります。
勤怠管理システムを導入すれば、このような様々な種類の残業時間と残業代を自動で計算できるから楽になるのは言うまでもありませんが、そもそも残業代をちゃんと支払わない会社であれば、勤怠管理システムというものにさほど魅力を感じないのかもしれません。
実際に、「残業代をちゃんと支払わない会社」というのは世の中にごまんとあり、ほとんどの場合、「うちは固定残業代を払ってるから残業代を計算する必要がない」と言います。
このような会社では、仮に残業時間が月に100時間を超えても、深夜労働だろうが休日労働だろうが「残業代は固定だから」という理屈で残業代が出ません。
もちろん違法行為ですが、このような会社は世の中にまだまだいくらでもあります。
中にはこれが違法行為とも知らず、固定残業代のことを「何時間残業しても残業代は固定よ」と誤解している経営者や担当者がいることも事実です。
そのような会社では勤怠管理システムの導入は必要ないかもしれません。
理由その3)自分の仕事を奪われると危惧する担当者がいる
人間がAIに仕事を奪われるというのはまだまだ先の話かもしれませんが、勤怠管理担当者が勤怠管理システムに仕事を奪われるというのは、もう少し現実的な話で、今まで全従業員のタイムカードをアナログに集計していた作業をしなくて済むようになるということは、その分早く帰っていいよ、ということではなく、手が空いた分他の仕事をしなさい、ということになります。
日本に「8時間労働制」が導入されたのは1919年のことで、なんと100年以上も前の話ですが、当時は当然パソコンも電卓もなく、鉛筆と算盤だけでデスクワークをこなしていたはずです。
100年経った今、道具の発達により業務効率は圧倒的に向上したのに、労働者の労働時間は変わりません。
結局、勤怠管理システムを導入して仕事が楽になっても、その分労働時間が減るわけではなく、他の仕事で時間を埋めなければならない、ということです。
「慣れない仕事を覚えるよりかは、今まで通りアナログな作業で時間を過ごすほうがマシ」と思うサラリーマンが多いのもまた事実です。
これがペイ・フォー・タイムで働くサラリーマンの性かもしれません。
まとめ
導入コストが高くても一度導入してしまえば勤怠管理システムは便利なものです。
中にはKINPIRA CLOUDのように初期設定も従業員のアカウント登録も不要で、導入コストを極限まで下げたシステムもあるので、色々な勤怠管理システムを比較して最も自社に合ったシステムを選ぶようにしましょう。
コメント