勤怠管理システムを導入していない事業所が多いただ一つの理由

勤怠管理システムを導入していない事業所が多いただ一つの理由は、ズバリ「そんなに困ってないから」と言えます。

KINPIRA CLOUD含め、無料で使える勤怠管理システムも数多くある中で、システム導入を検討すらしていない理由としては、「別にそんなもんいらんねん。困ってないねん。」以外考えられないでしょう。

では、なぜ困らないのか?その理由は、ズバリ「給与計算がそんなに大変じゃないから」と言えます。

つまり「残業時間を含む労働時間に関係なく、労働者に支払う賃金の金額が毎月固定のため、勤怠記録を給与計算に反映させる必要がない」という意味です。

一言でいうと、「残業代をちゃんと払ってない」ということになります。

では、なぜこのようなことが起きるのでしょうか?

みなし残業(固定残業制度)

みなし残業(固定残業制度)とは、使用者が労働者に対して一定の残業代を固定して支払うものです。(みなし残業については、過去の記事みなし残業制度の廃止を強く求める件でも触れていますので、併せてご一読ください。)

本来、固定できるのは「一定の残業代」のはずなのに、これが何故か「全部の残業代」を固定してしまうケースは多くの中小企業でいくらでも見られます。

つまり、「全く残業をしなくても月30時間分の残業代を支払うのだから、その代わりどんなに残業をしても支払う残業代は30時間分だけだよ。」という理屈ですが、もちろん違法です。

実際には、わざとではなく、本当に知らないでこういう運用をする使用者が多いことも事実です。

これには「固定残業制度」という名称にもある程度誤解を招く要素があるのではないかと考えます。「固定」といったら「固定」ですからね。はい。

すなわち、労働者がどんなに残業をしても(例えそれが深夜労働や休日労働だとしても、月間の労働時間が過労死ラインを優に超えたとしても)支払う賃金が変わらない以上、勤怠記録は給与計算に必要なものではないので、勤怠管理システムなんぞややこしいものなんかいらない。紙のタイムカードで十分。という論理が成り立つわけです。

打刻まるめ

うちは15分まるめやねん。9時から勤務開始やから打刻は8時46分から9時の間にしいや。

この台詞、バイトの初日に一度は聞いたことがあるかもしれません。

「仮に8時46分から仕事を始めても始業時間の9時までの賃金は支払わないよ」という意味ですが、実際に業務命令により始業時間前に仕事を始めたのであれば、その分の賃金は支払われなければなりません。

だけど、15分をまるめてしまうことで、「15分」さえ超えていなければ、毎日の賃金計算をする必要がなくなり、毎月支払う賃金が固定されるため、給与計算のための勤怠記録反映が不要となり、結果、「タイムカードで十分」ということになるわけです。

ですが、打刻まるめは、場合によっては違法になる可能性があります。こちらの記事も併せてご一読ください。

まとめ

中小企業や個人商店などを中心とした使用者側として、紙のタイムカードで十分事足りている理由の背景に前述のようなことがあるとすれば、決して望ましいことではありません。

逆に言うと、労働に対して正当な対価を支払うためには、多くの場合複雑な集計が発生するので、勤怠管理システムは必要不可欠なものと言えます。

コメント

  1. […] 勤怠管理システムを導入していない事業所が多いただ一つの理由でも述べましたが、実際に誤った「みなし残業」や「打刻まるめ」のあわせ技で、従業員の労働時間に関係なく毎月の給与がほとんど変わらない事業所が多いことは事実です。 […]

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